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松本コウシ先生の写真展で表現と描写について考えさせられた

先日、銀座のニコンプラザで開催されている松本コウシ写真展「 午前零時のスケッチ ONE OF THESE MIDNIGHT SKETCHES 」に行ってきました。

松本コウシ先生は、僕が尊敬する写真家です。

デジタルカメラの高性能化で、今でこそ、夜景写真なんて物珍しくもなく、それどころか、誰でも簡単に綺麗に撮れるようになってしまいましたが、松本コウシ先生は、カメラがデジタル化されるはるか前から、フィルムで夜景写真に取り組んでいて、そして、フィルム写真での夜景表現をこれ以上極めた人はいないであろうというほどに、極め尽くしたと思う写真家だと思います。

先生のこだわりとはどういうものかというと、印刷された写真をゴールだとすると、カメラや撮影はもちろん、フェイルむや印画紙、紙の素材、印刷方法まで徹底的にこだわっているのです。

だから、先生の作品の正しい鑑賞方法は、実際に写真が展示されている写真展に行くか、先生の写真集を直にみることによって、成立するものだと、僕は勝手に思っています。

とくに先生が写真展をやるときは、いつも会場にいらっしゃるので、先生のご尊顔を拝めるという楽しみもあります。撮った写真と撮影した人を同時に見ることができるというのは、写真展の醍醐味だと思います。

写真展の様子

ニコンプラザでは、先生がいきなり会場の入口に座ってらっしゃったので、非常に緊張しました。

先生は、みるからに繊細でいらっしゃりながらも、ちょっとでも間違えを起こせば、背中から一刀両断されるのではないかと思わせられる、厳しさがあるのです。まさに、写真家の侍といった雰囲気です。

肝心な写真の方はどうかというと、誤解を恐れず、失礼を顧みずに言えば、徹底的に地味で暗いです。

いうなれば、狭い階調の中で、微妙な陰影を表現しているとでもいうのでしょうか。その微妙な陰影が、先生が風景から切り取るモチーフ、そしてその画面の構図と相まって、地味でありながら、とても深く強い印象を受けるのです。

さらに、先生の場合は、それを印刷する紙質、見せ方にまで徹底的にこだわっているのです。

ぶっちゃけて言うと、デジタル時代の写真に毒された人たちがみれば、先生の写真を見た時、薄暗くてはっきりしない写真だなぁと思うかもしれませんが、先生の写真を、写真としてではなく、絵だと思って、絵として見ると、がらっと見え方が変わってくると思います。

例えて言うならば、先生の写真は、黒い画用紙に一色一色と色を塗っていくような絵画のようで、どこにどういう色を塗るか、その意味に関して、徹底的に考え抜かれている、そんな感じでしょうか。

まぁ、僕ごときが、先生の写真に関して、あれこれ言っているのが先生にバレたら、次回の写真展で出入り禁止になりかねないので、これ以上はやめておきます 笑い

先生との会話

迷惑だとは思いつつも、ついつい我慢できず、会場を出るときに、先生にいろいろと質問をしてしまいました。

デジタルとフィルムについて、撮影手法について、被写体の探し方について、関西と関東の違いについて、そして今後の方向性について等々、いろいろとお話を聞かせていただきました。

いや、正直な話、先生にとっては至極迷惑な人間だったと思いますw たいへんもうしわけありませんでした。

で、その先生との話の中でも印象に残ったのが、先生はご自身の写真は表現ではなく描写だといってらっしゃったことです。

これは、非常に衝撃的でした。

なぜかというと、先生の写真は、撮影手法のみならず現像、印刷に至るまでこだわりぬいているので、誰がとっても同じようになるなんてシロモノではなく、だから描写だというそんな控えめなものではなく、まさに自ら主体的に表現している写真だと思っていたからです。

たとえば、僕がよく撮影する改造車。

これは、そもそも改造車自体が派手なので、誰が写真をとっても、その写真の出来上がりは、「ああ、すごい写真だ!」となるわけですが、これは、実は写真がいいわけではなく、被写体がいいだけのことが大部分なのです。

描写と表現について

改造車をそのまま描写するだけで、プロであろうと素人であろうと、すごい!と思う写真の出来上がりというわけです。

で、プロは、そこに、更にひと味つけて、より印象的な写真にする、この作業の部分を「表現」だ、と思っていました。

そして、松本コウシ先生は、そうした「表現」の部分を極めているのでは、と思っていたのです。

多分、僕の描写と表現の違いについての考え方が、間違っているのか、あるいは松本コウシ先生が、謙遜して、表現ではなく描写だと言っているんじゃないかなぁと勝手に思っていますw

こうして書いていると、相手の反応を伺ったり、反論を聞かずに、自分の思ってることだけを滔々と書いてしまうので、非常に怖いですねw

多分、時間がたって、あとあと読み返すと恥ずかしくなるようなこともあるでしょうけども、松本コウシ先生のお話をお伺いできた、貴重な体験を忘れぬよう、残しておきたかったので、あれこれ書いてみました。

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松本コウシ写真展 「 午前零時のスケッチ ONE OF THESE MIDNIGHT SKETCHES 」

会場  銀座ニコンサロン
会期 12月17日(水)~12月29日(月)
開館時間 10:30am~6:30pm
最終日は3:00pmまで、開期中無休
東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1・2階
03-5537-1469

消えゆくモノ、残されるモノ、
夜、密かに自己主張する風景たちを
地図のない旅の中、7年間撮影してきた作品。

今年6月に日本カメラ社より刊行された同タイトルの作品集より43作品を展示予定。
代表作「眠らない風景」に次ぐ、夜の集大成的作品。
(一枚の額に2作品組で展示)

松本コウシ先生のホームページ

 

kinzouPRO

カメラマンとしてテレビや新聞に載らないストリート・アンダーグラウンドシーンを追いかけてます。ハッシュタグ #kinzoupro を僕の撮った写真につけてくれると嬉しいです。各種問合せはこちらから> http://kinzoupro.com/support

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